レーザー脱毛の原理
レーザーについて
レーザー(Laser)とは、英語の「
Light
Amplification by
Stimulated
Emission of
Radiation :
放射の誘導放出による光の増幅」の頭文字をとったもので、人工的に作られた単一波長の光線です。1960年に誕生したレーザーは、20世紀における最大級の発明の一つと目され、科学技術の幅広い分野の多大な影響を及ぼし、産業、環境、バイオ、そして美容・医療の分野においても多大な恩恵をもたらしています。
レーザーは光なので、光の基本的な性質を押さえておくと、レーザーについてより理解を深めて頂くことが出来ると思います。
光が物に当たると、光のエネルギーの大部分は、当った物の中の分子を揺り動かして熱になり、温度を上昇させます。この現象を「
吸収」と言います。「吸収」されなかった部分のエネルギーは、その物からはね返されて出て来ます。この現象を「
反射」と言います。物質の種類によって「吸収」や「反射」の起こり方が異なるため、それが色の違いとして目に見えるわけです。一般的に申しますと、色が黒っぽいという事は、光を良く吸収して、あまり反射しないということであり、反対に色が白っぽいという事は、光をあまり吸収せず、多くを反射しているという事になります。
先にも述べましたが、レーザーは人工的に作られた単一波長の光線ですので、特定の物質に的を絞って吸収させる事が可能です。また、放射線などとは異なり、脱毛施術に使用する波長のレーザーをいくら照射したとしても癌(ガン)になったりするということは決してありません。この特性を医療分野に応用し、毛に多く含まれる黒い色の素 「
メラニン色素」 をターゲットとして、レーザーを用いて集中的に熱を加え、毛を作る組織を破壊することによって脱毛させる方法が 「
医療レーザー脱毛」 です。
但し、メラニン色素は表皮にも多く含まれており、とりわけ私たち日本人の表皮には白人と比べて多数存在しています。皮膚表面からレーザーを照射して、表皮を傷つけずに、その奥にある毛根のメラニンを狙って破壊するという事は、イメージ的には、タマゴの殻と白身に傷を付けずに、黄身だけ加熱するような事にも似て、相当な難題でした。
しかし、1983年に医療用レーザー開発の第一人者である、米国ハーバード大学の
ロックス・アンダーソン博士(Dr. Rox Anderson)が、その後の
レーザー治療の聖典(バイブル)とも仰がれる
「Selective Photothermolysis : 選択的光熱治療」 についての論文を発表し、この理論を脱毛治療に応用した論文が1996年に同ハーバード大学の
メラニー・グロスマン博士(Dr. Melanie Grossman)によって発表されました。
これにより、脱毛用レーザーの備えるべき特性(波長、照射時間、エネルギー量)が明らかにされ、レーザーを用いた脱毛法の実用化が成されたのです。
最も初期の機材は、レーザーを発振する素子にルビーを用いたものでしたが、安全性・効率性を追求し、有色人種のメラニンの多い皮膚にも適応できるように、最適化と改良が加えられた結果、現在の最新機種は
第四世代に当たり、当院導入の
Xeo (ゼオ)が、その筆頭に挙げられます。
脱毛レーザーの世代と波長の表
| 世代数 | レーザーの種類 | 波長(単位:ナノメートル) |
|---|
| 第一世代 | ルビーレーザー | 694nm |
| 第二世代 | アレキサンドライトレーザー (LPIR) | 755nm |
| 第三世代 | ダイオードレーザー | 800nm |
| 第四世代 | Nd:YAGレーザー (Xeo) | 1064nm |
世代を追うごとに波長が長くなって来ているのが御覧頂けると思います。
波長が長くなるほど、深い部位にまでエネルギーを到達させることができます。時間の経過と共に蓄積された知見により、波長、照射時間、パワーの最適化が図られた
第四世代の脱毛レーザー Xeoでは、産毛を始めとする全身の効果的な脱毛に加え、特に男性のヒゲの脱毛において著明な効果を発揮する事となりました。
体毛について
毛の入り口には、脂腺と言って油を出す腺がありますが、この脂腺の出口付近に、「
stem cell (ステム セル): 幹細胞」と言って、毛の発生において一番の大元となる細胞があります。レーザーによって加熱された毛の熱が伝わって、この
幹細胞が焼け落ち、毛の再生が止まるのです。
毛は、表面に出ているものだけではなく、埋もれているものが多数存在します。レーザーは光なので、このような皮下に埋もれている毛にも熱エネルギーを伝え、毛が焼け落ち、幹細胞が死滅します。このような皮下に
埋もれている毛まで処理できるのは、今のところ
レーザー脱毛しかありません。
私たちの身体に生えるすべての毛には、「
成長期」 「
退行期」 「
休止期」の大きく三つの期間に分けられる「
毛周期」と呼ばれるサイクルがあり、生えたり、抜けたり、毛の生えている部位ごとにそれぞれ異なる複雑な活動を日夜繰り返しています。
毛にはその形成があるものだけではなく、形成のない時期があり、これを「
休止期」といいますが、レーザー脱毛では、この時期の毛を処理することが出来ないのです。この時期の毛は、2〜3ヶ月するとまた生えてきます。実際のデータを見てみると、1回照射すると、2カ月ぐらい毛は殆ど生えてきません。これは、埋もれている毛もすべて処理しているためです。3カ月ぐらいすると、半分ほど生えてきます。これは、レーザーを照射したときに、休止期にあった毛が目を覚まして生えてきた結果です。2回目を当てます。そして、3カ月たつと、今度は1/5程になります。(このデータはワキ、腕の場合です。)
永久脱毛を達成するのに、なぜ長期間かかるのか? その疑問を解く鍵は、この「
毛周期」が握っていたのです。
レーザー脱毛はアメリカFDA(日本の厚生労働省に相当する機関)にて、
permanent hair removal (永久脱毛)として認可されておりますが、1987年に日本に導入されてから、まだ日が浅いのに、どうして
永久脱毛といえると言えるのでしょうか?
それは、毛の休止期の長さが判っている為です。休止期の長さは、部位によっても異なりますが、大体、半年から長くても1年程です。
アメリカである実験を行いました。レーザー照射前に、単位面積当たりの毛の数を計測し、2カ月ごとに、6回レーザー脱毛術を実施し、半年待った後、再び毛の数を計測しました。すると、殆ど毛の再生は認められず、休止期の長さから判断すると、永久脱毛として良いだろうという結論になったのです。
永久脱毛とは・・・
米国電気脱毛協会(American Electrology Association)による定義が存在し、その内容は「治療前の毛の数に比べ、治療後の毛の再生率が20%以下である場合を永久脱毛と認める」というものです。よって、日本語の字面から受ける印象の「一生涯、完全に毛が生えない状態になる」というのとは、意味が異なります。