
下肢静脈瘤
体外レーザー治療
レッグベイン(下肢静脈瘤)の体外レーザー治療
血管病変の種類
レッグベイン(下肢静脈瘤)
下肢静脈瘤とは、下肢(かし)すなわち脚や足の表面を走行する静脈が、ぼこぼこと瘤(りゅう、こぶ)のように盛り上がったり、クモの巣や網目状に青や赤の血管が浮き上がったりする疾患です。基本的には自然に回復することはなく時間と共に徐々に悪化しますが一般的に進行は緩徐です。しかし、重症化すると潰瘍や血栓症などが発生し、治療に難渋する場合があります。非常に多くの方に発症することが特徴で、40歳以上の10%前後、妊娠出産経験者の50%に発症するなどと報告されています。潜在的な方も含めると相当多数の患者人口になるようです。
以前までは手術などでしか治療することが出来ませんでしたが、軽度の下肢静脈瘤であれば当院のXeoであれば切らずに治療することができます。

下肢静脈瘤の原因と発生メカニズム
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、足の静脈がボコボコと浮き出て見える病気で、主な原因は「血液の流れに逆らえなくなった静脈」にあります。 人の体には、心臓から送り出された血液が足の先まで届いたあと、今度は重力に逆らって心臓に戻っていかなければなりません。静脈には、そのために「逆流防止弁(べん)」と呼ばれる仕組みがあり、血液が上へと流れたあと、逆戻りしないように弁がパタンと閉じてくれるのです。
この弁は静脈の中にいくつも存在し、階段のように血液を上に押し上げていく役割を果たしています。 ところが、この逆流防止弁が何らかの原因で壊れたり、緩んでしまったりすると、血液が下の方へ逆流してしまいます。とくに脚の場合、立っていたり座っていたりする時間が長いと、重力の影響で血液が脚の下の方にたまりやすくなります。その結果、静脈の中に血液が滞って血管がふくらみ、うねうねと蛇行するようになります。これがいわゆる静脈瘤です。
特に脚の場合には、立っていたり、座っている時間が長いと、重力で脚の下の方に血液が溜まってしまいます。それにより血管が拡張し、静脈瘤ができてしまうのです。 また、加齢や妊娠、肥満といった身体的な変化によって血管にかかる圧力が増すと、弁への負担が大きくなって機能が低下しやすくなります。さらに、ホルモンバランスの影響で血管が拡張しやすくなることもあり、特に女性に多くみられます。遺伝的な体質で血管の壁や弁が弱い場合もあり、家族に静脈瘤がある人は発症しやすい傾向があります。
つまり、下肢静脈瘤は、「静脈にある逆流防止弁が壊れて血液が逆流し、血管に血液がたまり、ふくらんでしまう」という現象で、日常の姿勢や体質、加齢やホルモンなど、さまざまな要因が重なって発生する症状なのです。

静脈瘤の体外レーザー治療とは?
下肢静脈瘤の体外レーザー治療とは、皮膚の表面からレーザーを照射して、浮き出た異常な血管を徐々に消していく非侵襲的な治療法です。体の内部に器具を入れることなく、あくまで外からアプローチするため、身体への負担が非常に軽い点が特徴です。この治療は、特に「クモの巣状静脈瘤」や「網目状静脈瘤」のような細い表在血管に適応されます。つまり、皮膚のすぐ下にあって、見た目に赤や紫色の線のように見えるタイプの血管です。
治療に使われるレーザーは、血管内のヘモグロビン(赤血球中の色素)に吸収されやすい波長に調整されています。レーザー光が皮膚を透過して血管に届くと、ヘモグロビンが熱を発し、その熱で血管壁が収縮し閉塞されます。閉じられた血管はやがて体に吸収されていき、見た目にも目立たなくなります。術後は日常生活への支障がほとんどなく、そのまま歩いて帰れるのが一般的です。ただし、1回の施術である程度の効果は見込めますが、状態によっては2~3回程度の繰り返し治療が必要になることもあります。
一方で、太くなった伏在静脈瘤のような深い場所にある静脈や、うねりの強いものに対しては、体外レーザーでは効果が乏しいこともあるため、その場合は血管内にカテーテルを入れて内側から処置する「血管内レーザー治療」や「ストリッピング手術」など、より深部対応型の治療法が選ばれることになります。
Xeo(ゼオ)による治療
XeoはNd:YAG(ネオジム・イットリウム・アルミニウム・ガーネット)という人工結晶を発振に用いるレーザーで、1064nmの波長と0.1~300msecのパルス幅(照射時間)を持つハイパワーなレーザー照射器です。1台のプラットフォームで、脱毛、美白・美肌対策、血管病変等の治療と、各方面に優れた効果を発揮します。赤ら顔・赤あざ・静脈瘤など血管病変に関しては赤色の原因である血液(ヘモグロビン)に反応し、皮膚の奥深くに届く1064nmの長い波長が皮膚表面を傷つけずに血管病変に効果的に作用します。
共立美容外科仙台院ではXeoによる治療を行っております。フォトフェイシャルやオーロラは血管病変の治療には向きません。
フォトフェイシャルやオーロラなどのIPL治療器は、単波長であるレーザーとは異なり、多種多様の散乱光を発します。勿論、血管病変の治療に有効な530-600nmの波長や1000-1100nmの波長も含まれてはおりますが、全体の数パーセントにすぎません。
ロングパルス・ダイレーザーやロングパルス・YAGが100%血管病変に有効なエネルギーを発するのに比較すると、数パーセントしか血管病変に有効な成分が含まれていないのが理解できると思います。また、散乱光は直進性が悪く、そのためなかなか深部まで達しません。したがって、IPL治療器は、治療効果が非常に悪く赤ら顔の治療には向かないと断言していいとおもいます。
Xeoのメリット
- コンタクトクーリングのため、表皮を殆ど傷めることなく治療可能です。
- 長い波長のため、極めて深部まで到達します。
- 高いピークパワーのため、下肢静脈瘤の治療も可能となりました。
1064nmの長い波長
レーザーの波長は特定の色に反応します。そのためメラニンやヘモグロビン(赤血球)などを他の部位を傷つけずに破壊することが出来るのです。ここで、下のグラフを見てください。『縦軸の吸光度が高い=反応し易い』を表しています。グラフで示す通り580nmと1064nmにおいてヘモグロビンの吸光度を示しています。580nmの波長の方が1064nmの波長よりもヘモグロビンについて高い吸光度をしましています。しかし、580nmでは表皮に強く吸収されてしまい、表皮より深い真皮にあるメラニンまでは届きにくく表皮も火傷などを追ってしまいます。また、580nmでしっかり効果があるためにはエネルギーを高くする必要がありますが、表皮にダメージをより与えてしまうのです。

皮膚の奥深くまで届く
レーザーの波長は長いほど皮膚の奥深くに到達します。例えば紫外線と赤外線です。紫外線の波長は短く、赤外線は長いのです。そのため、紫外線を浴びるといわゆる日焼けを起こし、赤外線は浴びると身体が温まります。これは皮膚の表面にしか波長の短い紫外線が届かないためであり、赤外線は波長が長いので身体の中まで届き作用するためです。
つまり、波長の長いYAGレーザー(1064nm)は波長の短いダイレーザー(580nm)より皮膚の奥深くまで届きます。

可視光線領域では波長が長いほど皮膚の奥深くにレーザーが到達します。
参照文献:Anderson RR: Leaser-tissue interactions. Cutaneous Laser Surgery. Goldman MP et al (eds), Mosby, St. Louis.p1-18, 1994/Goldman RE: Treatment of cutaneous vascular lesions. Cutaneous Laser Surgery, Goldman MP, et al (eds), Mosby, St. Louis, p19-105, 1994.
高いピークパワー
1064nmのレーザーは580nmよりは赤色に対する反応は弱いですが、波長が長いため皮膚の奥深くにある血管にしっかりと届き、血管病変・赤ら顔・赤あざに効果的です。また、下肢静脈瘤の治療には血管を閉塞させなければなりません。しかし、血管を閉塞させるには高いエネルギーを必要としますが、従来の1064nmのレーザーでは血管閉塞に必要なエネルギーを得ることが出来ませんでした。しかし、Xeoは従来のレーザーの数倍の300J/cm²という非常に高いピークパワーを出すことが出来ます。そのため、赤あざ、赤ら顔などの毛細血管レベルの病変は勿論のこと、従来のダイレーザーでは難しく、手術で切り取るしかなかった下肢の静脈瘤まで治療可能となりました。
実際の手順
- 赤ら顔の部分をよく見てみると、細かい血管が浮いてみえます。表皮に近い血管は、直接みることができますが、深部の拡張した血管は、境界不鮮明なボーッとした赤となります。
- ここにXeoを照射します。
- たった一度の照射で拡張した血管が消失しました。かさぶたは出来ません。
- 照射後、Cooling Deviceで皮膚を冷却します。
~解 説~
小血管が消失していく様子が鮮明に記録されております。レーザーを照射した後、新しく開発されたCooling Deviceで皮膚を冷却しております。皮膚が殆どダメージを受けていないことがわかると思います。少し前までは、血管病変の治療というと、ロングパルス・ダイレーザーが主体でした。このレーザーは、波長が短いので、大部分のエネルギーが皮膚の表層に吸収されておりました。その結果、皮膚は真っ黒に焼けただれ、火傷の跡や色素沈着、色素消失などが頻繁に出現しました。実際の治療をビデオで見ると、いかにロングパルス・YAG(XEO)がいかに優れているかが、実感できると思います。
血管性病変に対するパラメータの決め方
血管の深さ 浅い→深い | スポット径 | 小→大 |
血管の深さ 浅い→深い | パルス幅 | 短→長 |
血管の太さ 細い→太い | エネルギー量 | 大→小 |
患部の外観 | 血管の種類 | スポット サイズ |
フルエンス (単位面積当たりの エネルギー量) |
パルス幅 | 照射反復 速度 |
---|---|---|---|---|---|
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顔面 毛細血管拡張症 |
3mm | 110-160 J/cm² | 10-30ms | 0.0Hz |
![]() |
下肢 毛細血管拡張症 血管径 0.5mm |
3mm 5mm |
130-200 J/cm² 110-170 J/cm² |
10-25ms | 0.0Hz |
![]() |
クモの巣状血管 血管径 0.5 ~ 1.5mm |
3mm 5mm |
110-160 J/cm² 110-150 J/cm² |
20-40ms | 0.0Hz |
![]() |
下肢網状静脈 血管径 1 ~ 3.5 mm |
7mm 10mm |
80-130 J/cm² 80-100 J/cm² |
30-60ms | 0.0Hz |
ダウンタイム・副作用・注意事項
照射後2-3日は発赤とほてり感が認められます。時に所々水疱が形成されます。その際は水疱をつぶさないようにテープや絆創膏で保護して下さい。かさぶたが破れると発赤が2~3カ月続くことがございます。特に、大きな拡張した血管を破壊するとその血管の跡が陥没したようになりますが、通常、3~6カ月で改善します。
《 照射当日 》
- ご来院の際は、日焼け止めのご使用は禁止です。お帽子や日傘などでカバーしてください。
- 当日は、洗顔・メイク・シャワー・入浴は禁止です。
- お帰りの際にメイクは出来ません。日焼け防止の為、お帽子、サングラスなどご持参ください。
《 照射翌日より 》
- 患部以外のシャワーは当日より可能です。
- 洗顔・メイク・湯船は翌日から可能です。
- 洗顔は低刺激性の洗顔フォームをよく泡立て使用してください。
- 洗顔、入浴の際は照射部を強くこすらないでください。まれに水泡(水ぶくれ)や色素沈着が出現することがあります。水泡になった場合は無理につぶさないようにし、お渡しした軟膏を塗って 様子をみてください。
- AHA石鹸をお使いの方は照射1週間後からのご使用になります。
- レーザー照射後、一時的に色素沈着や赤みが見られる場合がありますが、照射部を日光に当てない様にすることで徐々に消えていきます。色素沈着の予防や、早く消す為にビタミン(ビタミンCが中心のもの)を多く摂取することを心掛けてください。
- お顔はいつも外気に触れている部分なので紫外線の影響を受けます。※外出時は必ず日焼け止めクリーム(SPF30以上)で保護してください。
- 照射後のポツポツとした赤みが出来た場合は2~3日位で引きます。
- 2回目以降の治療間隔は、1ヶ月が目安です。(個人差もございますので医師の指示に従ってください)
- 治療回数は個人差がございますのでご了承ください。
- お薬など処方された場合は看護師よりご説明致します。
料金
下肢静脈瘤 1cm×1cm(1回) |
¥30,000程度
(税込:¥33,000) |
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下肢静脈瘤 5cm×5cm(1回) |
¥50,000程度
(税込:¥55,000) |
※下肢静脈瘤の表示金額は目安です。大きさによって料金が異なりますのでまずはカウンセリングにお越しください。